今回はバイクのカウル塗装について解説を行っていきたいと思います。今回のバイクはKTMで外装部品の色が異なっていたため外装の塗装を行いました。
○下記の画像が今回DIYに使用した用具一式です。
ハンドマスカー(マスキング用紙、新聞紙でも可)、マスキングテープ、保護手袋、有機溶剤保護マスク、塗料(クリヤー、カラーベース)、脱脂剤(シリコンオフ)プライマー(樹脂部品密着性向上の為)、塗料カップ(0.6リットル)、スプレーガン、バケツ(足付をする際の水を入れられる程度の物)、スコッチブライト(たわし)#800番相当(耐水ペーパーでも可)
尚、今回使用したクリヤー、カラーベース(色)は業務用を使用しました。業務用は塗料販売店などで購入可能です。又今回はKTMのオレンジ色の塗装でしたので調色を行いましたが、調色を行うためには、メーカーごとの原色(色の元)がある程度必要になってきますので、一般的ではありません。この際は調色を塗料販売店、もしくは、板金塗装専門店に色だけ機械調色で作っていただくと良いかと思います。
(幾らかの塗料代金は発生します)
通常下記のようなカウルを塗装するために必要な色の量は、0.5リットルから1リットル程度(シンナー等で希釈した状態)で十分足ります。
1、まず最初にカウルを塗装するための塗装台を簡易作成します。今回はオイルの空缶を下記のようにマスキングして塗装台としました。
2、次に新品のカウルにスコッチブライト(たわし)#800番相当を使用して、足付け(細かな傷つけ)を行います。
足付け・・・細かな傷(#800番相当を付けることにより塗料の密着を向上させます)
3、下記のように新品カウルの艶がなくなるまでしっかりと足付けを行います。
4、足付が終了したら上塗の準備にかかります。足付けのときに付着した水分をしっかりとウエス等でふき取りエアブローで完全に乾かします。
その後、カウルの裏側にマスキングテープを貼り付け塗装台に貼り付けます、この作業は塗装時のエアーでカウルが落下してしまうのを防止するためです
5、4番目の作業が終了したら次に、カウルの脱脂を行います。カウルに脂分が残った状態では塗装時にはじき等の不具合が発生してしまうため、シリコンオフ(下記左下画像の右側の缶スプレー)を使用してしっかりと脂分を取り除きます。
(脱脂を行う前には下記画像右側のようにエアブローしホコリなどのゴミを取り除いた後脱脂を行います)
下記画像が脱脂を行っている画像です。缶スプレー(シリコンオフ)でカウルに吹付けその後ウエスでカウルの隅々まで脱脂します。
6、脱脂が終了したら、塗装に入ります、DIYで綺麗な塗装を行うコツとして、風の無いところで、塗装する周りに水をまきホコリが舞い上がるのを防ぐことでゴミ等の付着を最小限に抑えることができます。又、下記画像右側のように塗装する直前にエアブローを行いながらタッククロス(ホコリをふき取るクロス)等で被塗装物(カウル)の表面を吹き上げることでホコリを取り除きます。
7、6の作業が終了したら、プライマーを吹き付けます。プライマーの吹きつけ要領としては、いっきに艶をだしながら吹き付けるのではなく、少し艶が出る程度で2回に分けて吹きつけを行います。
補足・・・プライマーは吹き付けてから上塗(カラーベース)までの時間が大きく空いてしまうと、密着性能が低下してしまうため、プライマー吹付け後は艶が引くのをまって(2分程度)すぐにカラーベースの吹き付けに取りかかれるように準備をしておきましょう。
8、プライマーの吹き付けが終了したら、上塗(カラーベース吹き付け)に入ります。今回はスプレーガンを使用しての塗装となります。
事前に準備(希釈済みの塗料)しておいた塗料をストレーナー(ろ紙)でろ過してスプレーガンのカップに注ぎます。
9、スプレーガンに塗料を入れたら、吹き付けに入ります。一回目の吹きつけは、ガンと塗装物の距離を放し艶が少し出る程度に吹き付けます
(捨て吹き、バラ吹き、といいます。)・・・はじき防止
10、9番目の工程が終了したら、艶を出しながら塗装対象物(カウル)が染まるまで、回数を分けて吹き付を行います。
通常3回から4回の吹き付で対象物を染めるようにします。回数を分ける際にはフラッシュタイムを間にしっかりととり色が流れない(タレない)ようにします。
染まる・・・下の色が透けていない状態
フラッシュタイム・・・塗膜を手で触って手にくっつかない程度の時間
11、下記左下のように色が染まってしまったら、次にクリヤーの塗装に入ります。
今回使用したカラーベースは一液型(硬化剤を使用しないタイプ)ですので、二液型(主剤に硬化剤を加えるタイプ)のクリヤー吹き付を行い強い塗膜性能を確保する必要があります。
使用したクリヤーは主剤に対して硬化剤(2:1)の割合で混ぜ、シンナーで20%セント希釈したものを使用しました。(メーカー、使用する塗料によってこの割合は異なります)
12、下記左下画像のようにエアブローを行うとクリヤーを吹き付けていない状態(カラーベースの状態)では、乾いていく過程で艶が無くなっていきます。このようにエアブローを行い艶が引いてしまった状態からクリヤーを吹き付けるようにします。
補足・・・この工程は一般的な、一液型塗料の吹き付けの基本となるものです。どの塗料メーカーも大きな工程の差はありません。又、エアブローを行いカラーベースを乾燥させる際にはブラッシング等の不具合に配慮しながらエアブローを行うようにします。
用語補足・・・塗装の不具合現象(トラブル)として(塗膜が白っぽくにじんでしまうブラッシングという不具合現象(白化、カブリ)は梅雨の時期など湿度が非常に高い時に塗装を行うと吹き付け時に空気中の水分を含んでしまい、その結果塗膜表面が白っぽくにじんだ状態になってしまうというものです。対策として次のようなことがあげられます。
@湿度の比較的低い時に塗装をおこなう。
A塗装対象物を少し暖めておく。
B乾燥速度の遅いシンナーを使用する。
(塗装後の急激なシンナー蒸発を抑え水分の凝結を防止する為)
13、下記左下画像のようにエアブローで完全に艶が引いてしまったら、クリヤーを吹き付けていきます。右下画像がクリヤー(一回目)を吹き付けた画像です。
現在のクリヤーはハイソリッドタイプ(環境配慮された少ない回数で仕上げ塗装ができるクリヤー)が主流ですので一回目からある程度艶を出して塗装を行い、フラッシュタイム後の二回目の塗装で仕上げていくという工程をとります。
14、下記画像が完成下画像です。現在のクリヤーは昔に比べると非常に性能が高く、常温でも完全乾燥可能です。
(塗料メーカー、又商品により乾燥時間は異なります)
上記の工程ですべての作業は終了致しましたが、DIY塗装では塗装ブース内で行う塗装と違い、ゴミの付着などが多くなってしまう傾向にあります。ゴミが多く付着した場合はクリヤー乾燥後に、磨き作業という工程を行いゴミを取り除きます。磨き作業については、後日補足を行っていきたいと思いますのでご了承ください。尚、ご質問等につきましては下記掲示板よりご連絡いただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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