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1.塗装基礎磨き







塗装の基本・・・後編の磨き作業について解説致します。



車のDIY塗装で大切なことについてDIY塗装基礎で解説させていただきました。

DIY塗装で大切なことは、プロの作業でもDIYでも基本的には同じですが

屋外や屋内でも塗装ブースがない場所で行うとゴミの付着などが大量に発生します。




これらがDIY塗装の仕上がりを悪くする原因でもあります




又、スプレーガンや缶スプレーでクリヤー塗装した場合にきちんとした手順でも、その時の


温度や湿度、塗装条件によってツヤが出ない、ゆず肌になった経験がある方も多いと思います。





これらの不具合は磨き作業をすることによって格段に品質を上げることができます






プロは必ず塗装の最終工程(塗装が乾燥後)に磨き作業を行います。
磨きをしないというプロはほとんどいないと思います。








では
プロはどうやって磨いているのか基本工程を説明してみたいと思います。


ちなみにBPに入社した新入社員が磨きを習得して一人前に高級車の磨きをできるようになるまではおおよそ1年くらいかかります。


それもほぼ毎日数台の自動車を磨いてのことですので少なくとも300台位はみがいてやっとといった感じです。この間に多くの失敗を経験して技術力を身につけての作業ですのでプロの作業レベルで行うことはなかなか難しいことです。しかしDIYでも経験を積んでいけばプロに近い品質を出すことは可能となります。




1.#1500番程度のペーパーで大きなゴミやゆず肌になってしまった場合は、でこぼこを除去し
入庫している車の隣接パネルに適したツヤ(塗肌)にします。
(ツヤと塗肌は意味合いは違いますが、説明をわかりやすくするためにここではツヤとします)



2.#3000番程度のペーパーで上記の1500番の目消しをします



3.コンパウンドの粗目+ウールバフで3000番のペーパー目を除去して肌調整などをします
この段階である程度ツヤは出ます。



4.コンパウンドの中目もしくは細目+スポンジバフで中間仕上げもしくは本仕上げをします。
車の色が白系統、であればここまでで基本的には終わります。
(シングルアクションのポリッシャー仕用)



色が黒系統である場合は4.の工程に次の工程がプラスされます




5.コンパウンドの極細目や超微粒子コンパウンド+スポンジバフを使った磨き作業
とオーロラマーク(バフ傷)除去を行います
(ダブルアクションポリッシシャ又はランダムアクションポリシャ使用)




プロによって作業内容は異なりますが、BPを専門にしているカーディーラーが
おおよそこのような作業を行っています。



非常に大変な作業です。特に高級車等はユーザーの美観に対する意識も高い場合が多く
これらの工程を高性能なコンパウンドやポリッシャーを使うことで仕上がりを新車に近い状態に
近づけています。



補足・・・ここではわかりにくい用語などがあるかもしれませんがあくまでも参考程度に
していただければ良いと思います。これらの詳細は今後の塗装中級上級編で解説していきます





ではDIYでの磨きはどうすればよいのか?



ちなみにこの作業内容は、プロの作業とほぼ変わらないものですので、DIYでも中上級の仕上がりを確保できる作業です。最初はポリッシャを使用する工程であれば扱いに慣れないかもしれませんが数をこなすことで確実に上達します。




1.まずDIY作業では1500番程度のペーパー 
(できれば2000番から3000番がよいです)
(1500番から2000番はホームセンター等で入手しやすい番手だと思います)
を使用して軽く塗ったクリヤー面の全体にペーパーをあてます。


下記画像の右下のペーパーは空研ぎ用のペーパーで、ごみ取り専用(プロ用)ペーパーですが、ホームセンターのペーパーでも問題はありません。


ホームセンターの水研ぎ用のペーパーでは1500番程度の番手をバケツ等を準備して、水で濡らしながら
ゴミを取り、塗膜を均一に軽く研ぎます。


力を入れすぎず研ぐことがDIYでのコツです。










2.下記は1500のペーパーをあて板に取り付けています。プロはあて板を使う場合と使わない場合を分けて使用しますが、基本的にはあて板を使うことで均一に研ぐことができるというメリットがあります。

同じ場所をなピンスポットであて番を使用せずに研ぐとひずみになりやすいので注意が必要です。









3.ゴミを取りながら空研ぎすると、下記の画像のように塗膜全体に1500番のペーパー傷が残っている状態になります。









4.上記の作業が終わったら次に1500のペーパー傷を下記の3000番のペーパーで上から研磨して目けしします。

これで全体のペーパー目が3000番になります。

次からポリッシャーを使っての磨き解説をします。

 







5.下記画像はコンパクトツールのシングルアクションポリッシャーです
これはプロ用のものですが、本格的なDIYやプロの磨きに近づけたいのであれば15000円から20000円程度のポリッシャが必要となる場合があります。ポリッシャについては後に詳しく解説しますがプロ用と安価なものでは研磨力(パワー)がちがう場合が多いです。


右下画像のバフについてですがバフにはウールバフとスポンジバフがあります。
白色がウールバフで一般的に粗いコンパウンドを使用して1500番程度の傷を消す場合に使用します。
黒色がスポンジバフで中間仕上げや仕上げに使用するものです。


 







6.下記のようにウールバフで1500〜3000番のペーパー傷をけしてそのあとにスポンジバフに変えて仕上げを行っていきます。ウールバフはコンパウンドの粗目を使用して、スポンジバフは細目を使用するのが基本です。


補足・・・どの種類のポリッシャーでも言えることですがポリッシャーを同じところに長時間あてるとパネルに熱が発生します。塗膜の温度が高温になると塗膜がはげたりパネル自体がひずんだりする場合がありますので、磨き作業時にはパネルの温度管理も大切です。


磨き作業の途中でパネルを触ってみて、50度を超える(手で触って熱いと思う温度)とトラブルが発生しやすいので注意が必要です。









7.下記がスポンジバフで研磨後にクロス(ウエス)でふき取った画像です。
地面が写り込みツヤがでているのがわかると思います。
DIYですのでこれで作業は完了です。
さらに品質を上げたい場合は上記のプロの工程を参考にさらに、微粒子なコンパウンドを使用することで品質が向上します。





(補足)

プロであればクリヤーの厚みがどれくらいあるのかも、ある程度はわかるものですが初心者で
あれば軽く研磨する程度でよいです
(クリヤーを研磨しすぎるとクリヤーの下の色が出てしまう場合があり、こうなると通常塗り直しになります)

下の色が出てしまうと、もし仮にクリヤーの下の色(カラーベース)が赤であった場合赤がペーパーについて
しまったら研ぎすぎて下地を出してしまったことになります。
(この解説はカラーベース(色)を一液塗料でクリヤーを上から塗っているという塗膜構成です)







機械を(ポリッシャー)を使わないで磨く場合




これははっきりいって磨く面積にもよりますが、かなりの労働です。

不可能ではないですが美しく仕上げるためには非常に大変です。

まず布やウエスに粗目のコンパウンドをつけてペーパー目(1500〜2000番の傷)
を取らなくてはいけません。基本的にペーパーをあてると下記のように白くなりますので
ペーパーの傷がついて白くなった部分が取れるまで頑張ります。

ちなみに私が手磨きで、ドア1枚を下記の状態から磨き終えるまでの時間は2時間程度かかります。
ポリッシャーであれば工程にもよりますが20分程度です。
この差は大きいですね。






機械を使わないでコンパウンドで磨くコツは、ゴミを取った後のペーパー目をできるだけ細かくしておく3000〜4000番程度の傷から磨くといったことです。これによって作業性が格段によくなります。


又、コンパウンドについてですがホームセンターなどで売っているものはプロが使うものに比べ比較的研磨力が低い傾向にあります。その理由としては磨き加減がわからない初心者が使用することを想定しているからと思われます。


業務用のコンパウンドも最近では、粗いものを使わない方向ではありますが、それでも研磨力は確保するといった性能を持たせたものが多いといえます。又プロ用のコンパウンドの中にはシリコンが入っていないものが最近では多くつかわれます。


シリコンが入っていない理由としては、塗り直しの場合や、近くに塗装前の自動車がある場合にシリコンが入っているものを使用するとハジキが発生してしまうからです。車のワックスやコーティングにも同じことが言えます。


しかしシリコンが入っていないものは磨きが悪いとツヤが出づらいので、多少技術力が必要となります。

一般のDIYであればホームセンターなどに販売しているコンパウンドでも十分に対応できます。







2.ポリッシャーの基礎知識


ここでポリッシャーの基礎知識について解説していきます。ポリッシャーはDIYでの磨き作業やコーティング作業に非常に役に立つツールです。もうすでに使用されている方もいらっしゃると思いますが今後の参考にしていただければと思います。


1.ポリッシャには次のような種類があります。シングルアクションポリッシャー、ダブルアクションポリッシャー、ギアアクションポリッシャー、ランダムアクションポリッシャーです。この中には電動式(電気で動くもの)とエアー式のありますが、私としては電動式の物をお勧めします。


電動式とエアー式の違いは、基本的には低回転時のトルクは電動式のほうが強い傾向にあり、エアー式はコンプレッサー等も必要なのでDIYでは100V電動式がよいと思います。


ここで各ポリッシャーの特性について簡単に説明したいと思います。





シングルアクションポリッシャー

回転方向は一定の回転で、研磨力が強く、取り扱いに関しては初心者では難しい傾向にあります。
トルクが強いため、慣れないとポリッシャに遊ばれてしまい、スムーズなポリッシングができません、しかし一度取り扱いに慣れると、さまざまな磨き作業に応用でき大変便利です。プロは初期工程の磨き作業にシングルアクションのポリッシャーを使用することが多いといえます。
金額は20000円〜30000円程です





ダブルアクションポリッシャー

回転方向は一定でその回転の中にさらなる回転運動が発生しているポリッシャーです。ダブルの回転アクションということです。このポリッシャーの特徴は、研磨力はシングルに劣りますが、初心者にも比較的扱いやすく、安価なものから高級(プロ用)の物まであります。

安価なものはワックスをかける時なのに使用すると大変便利であると思います。しかし安価なものは研磨力がほぼありませんので、ペーパー傷や傷の除去は難しいといえます。
こびりついた水アカの除去も難しいです。

プロ用は研磨力(トルク)も兼ねていますので、シングルアクションに近い磨き作業に応用でき尚且つ仕上げも美しくできる優れモノです。

金額は安価なもの5000円〜10000円程です
プロ用は20000円から50000円程です





ギアアクションポリッシャー

ギアアクションポリッシャーはダブルアクションに類似したポリッシャーですがダブルアクションよりも研磨力が強く回転しながらスター状(☆)の動きをします。これもプロはよく使うものだと思います。
プロ向けの商品です。
金額は30000円から50000円程です





ランダムアクションポリッシャー
このポリッシャーは説明したポリッシャーの中でも先進の技術が搭載されているものだと思います。
規則性のないランダムな動きをし、尚且つ研磨力も持たせているという優れモノです。
規則性がないランダムな動きなので、シングルバフ等でできた、規則性のあるバフ目を消しオーロラマークなどを極力発生させないものとなっています。
商品にもよりますが、よいものは10万円程します。
磨きやコーディングを専門にしているショップやディーラーのBPなどはこのポリッシャを使用しているところもあります。





3.DIYお勧めポリッシャー



DIYの初級磨き(ワックスがけ等)であれば10000円以下のダブルアクションポリッシャーがよいと思います。
安いものであれば5000円程度の物もあります。



DIY中級であればシングルアクションのポリッシャに挑戦するとよいかもしれません。シングルアクションにも多くの種類がありますが、比較的研磨力の弱いシングルを選ぶと扱いやすいです。




DIY上級であればプロ用のシングルアクションを使用して、粗磨きから仕上げまでを行うことができると思います。はっきり言ってしまうとここまでできるとほぼプロといえます。



プロの領域の挑戦であればシングルアクションポリッシャとその他のポリッシャを組み合わせ尚且つ、コンパウンドにもこだわりを持って作業を行うともうプロの領域です。



プロでも好んで作業をする人が少ないと思われる
黒系統をの色を、完璧に磨きあげれればかなりのレベルです。



黒の車は太陽に当てた時に傷等が目立ちやすいのですが、
磨き作業が終わってから、太陽の下や水銀灯の下でも美しい塗膜が保たれていればプロレベルの仕上がりといえます。



この磨き作業をマスターすることで自動車のコーティングをする際の下地処理も格段に向上して結果としてコーティングの仕上がりもよくなります。



よく最近はいろいろなコーティングが紹介されていますが、自分でコーティングする際やプロのコーティングでも下地処理が重要になります。



たとえばガラス系コーティングやフッ素系コーティング等の高級部類に入るコーティング剤も下地処理ができていない(磨き傷や、水アカ、鳥の糞などによる塗膜の損傷がある)場合は、コーティングの本来の性能を発揮できないばかりかコーティングでこれらの水アカ等を包み込んでしまう結果となってしまいます。



このようなことから下地処理は大切で、磨き作業はコーティング前の究極の下地処理でもあると思います。







自動車のボディーにかかる部分(板金塗装)は下地処理が非常に大切です。




基本的に損傷の修理はペーパーで表すと40〜80番のペーパー(塗膜剥離)からはじまり、最終的に3000番〜4000番(磨き作業に使う)のペーパー、これらの3000番〜4000番のペーパー目を消すコンパウンド(粗目)や細目といった具合に細かくなっていきます。


損傷個所が仕上がっていくにつれペーパーの番手もそれに従って細かくなっていることが分かると思います。このことが理解できると、おのずとその時に必要なペーパーの番手も理解ができてくると思いますので知識として頭に入れておくと今後のDIY塗装の時にも役に立つのではないでしょうか






DIY塗装基礎


























最後までご覧いただきありがとうございました。



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